平成18年12月13日、「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する
法律」が成立し、同月20日交付されました。
第1次施行 (平成18年12月20日施行)
公布日に施行されたのは、付則66条の政府の責務です。
多重債務者問題について政府が多重債務者問題の解決に資する政策を推進す
るという内容です。
第2次施行 (平成19年1月20日施行)
悪質な貸金業者に対する罰則の強化
第3次施行 (平成19年12月19日施行)
(1) 貸金業法の名称・目的の改正
(2) 貸金業者の登録要件の強化
(3)
貸金業者の行為規制(取り立て規制等)の強化
(4) 監督の強化
業務改善命令の創設、行政処分の強化
(5)
新貸金業協会成立
(6) 貸金業法施行令・施行規則の改正
(7) 取引履歴開示義務の明文化
(8) 取立行為の規制強化
取立禁止行為等の詳細については、メルマガ第5回・第6回をご参照ください
第4次施行(平成21年6月18日施行)
(1) 貸金業者の財産的基礎要件の引き上げ
最低純資産額を2000万円にする
(2)
貸金業務取扱主任者資格試験制度の創設
(3) 指定信用情報機関制度の創設 (詳しくは「指定信用情報機関」を
御覧ください)
第5次施行(平成22年6月19日までに施行予定)
(1) 貸金業務取扱主任者の設置義務
(2)
貸金業者の財産的基礎要件の更なる引き上げ
最低純資産額を5000万円を下回らない額で定める
(3) 行為規制の強化
A 利息の制限額を超える契約の禁止等
B 書面交付義務の強化
(4)
過剰貸付に係わる規制強化
A 返済能力の調査義務
B 過剰貸付の禁止 借入残高の総額を年収の1/3に抑える総量規制を導入する。
過剰貸付禁止・総量規制の詳細については「総量規制」をご参照ください。
(5) みなし弁済制度の規定の廃止
貸金業規正法43条の「みなし弁済制度」の廃止
(6)
利息制限法の改正
貸金業者の貸付における債務不履行の場合の遅延損害金は20%を上限と
する等の改正
(7)
出資法の改正
A 貸金業者の金利の上限を20%に引き下げる
B 媒介手数料・保証料の制限
C みなし利息の規定
D 日賦貸金業者及び電話担保金融についての特例制度の廃止
(日賦貸金業者特例制度の廃止について、詳しくはメルマガ第10回を御覧
ください)
(電話担保金融の特例制度廃止について、詳しくはメルマガ第11回を御覧く
ださい)
みなし弁済
利息制限法を超過した利息が支払われた場合に、一定の要件を満たせば、
有効な(合法な)利息の弁済に該当するという規定
取引履歴
借入の記録のことで、借り入れの日時、借り入れ金額、返済金額、返済の日時
等が記録されている。金融業者は、貸金業法や会社法で帳簿の保存義務が規定
されている。
取引履歴開示義務
債権者が取引履歴の開示請求に対して開示に応じる義務。従来は法律の規定が
なく判例(平成17年7月19日最高裁判決)と金融庁事務ガイドラインで定
められていることが開示請求の根拠であったが、貸金業法の改正により取引履
歴開示義務が明記された。(貸金業法19条の2)
貸金業法 第19条の2(帳簿の閲覧)
債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し
、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)
の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該
請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないこ
とが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。
受任通知後の取立て禁止
司法書士や弁護士が債務整理に介入した際に、本人に対して督促や請求が禁止
されていることの根拠は、従来法律の明文はなく、金融庁の事務ガイドライン
で規程された行政指導でした。
貸金業規制法の平成15年改正(
平成16年1月1日施行)によりこの規定も
明文化されました。
また、債務者自らの申し出が限定的に取り立て禁止の効果が発生する規定も新
設されました。(貸金業法21条1項9号)
貸金業法
第21条(取立て行為の規制)
9.債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護
士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人
(以下この号において「弁護士等
」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関
する手続をとり、
弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合
において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、
電報を送達し
、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債
務を弁済することを要求し、
これに対し債務者等から直接要求しないよう求め
られたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求す
ること。
過剰貸付の禁止
多重債務者問題の対策のために、平成18年貸金業法の改正がありましたが、その
なかの改正項目のひとつで、多重債務者を増やさないために、ある一定基準以上の
貸付を禁止する規定である。
(貸金業法13条の2第1項)具体的には借主の年収の1/3以上の額の貸付を
してはならないとする規定である。
総量規制
多重債務者問題の対策のために平成18年貸金業法の改正があり、その改正項目
のひとつに過剰貸付の禁止が規定された。
「貸金業者が顧客の返済能力を
超える貸付をしてはならない」という
趣旨の過剰貸付の禁止を守らせるための
貸し出し基準を定めたもので、具体的に言うと、新規に借り入れをしようとする
人が、自分の借り入れ合算額が自己の年収の1/3を超えることとなる貸付
につい
て禁止する。
総量規制の適用除外となる借り入れについては「住宅ローン」「自動
車ローン」
「医療費支払のための貸付」が明文で規定されている。
詳しくは「総量規制」
をご覧ください。