消滅時効相談事例
ある日、Aさんに裁判所から訴状が届きました
AさんにBカード会社から「借りた金額を払え」という訴訟が提起されたのでした。
ところで、Aさんに請求された請求の取引状況をよくみると、最後の取引から7年たって
いました。
「そんなに前の取引なんで、正直忘れてました。やっぱ、払わなきゃいけないんですよね
しかし昔なんで利息もけっこうついて苦しい。まーいままでほっといた自分がわるいんで
すけど」
「いやいやAさん、はらわなくていいんですよ。」
「えーそうなんですか?なぜですか?訴訟提起されてるのに払わなくていいんですか?」
「実はAさんの債務は、既に時効で消滅しているんですよ」
「な、なんですか、その時効って?」
消滅時効とは 貸金業者の債権は5年で時効消滅する
消滅時効とは一定期間、権利が行使されないと権利が消滅する民法で定められている
制度です
「だから、Bカード会社が持っているAさんに対する債権(Aさんに貸し付けているお金を
返せという権利)も時効で消滅するんですよ。」
「それは何年で消滅するんですか?」
「一般的には、債権は10年で消滅になるんだけど、Bカード会社は会社(法人)なんで
Bカード社が有する債権は商事債権となります。(商法503条2項)
商事債権は、商法522条により5年で消滅するとされているから、Aさんの債務は
既に消えてるんですよ」
(旧法での説明です。 新法では「商事債権の消滅時効(商事時効)」という考え方は廃
止されました。
しかし新法においても債権者が貸金業者や銀行のような会社組織であれば、権利を行使
できる時を知らないはずがありませんので、その場合ほとんどの債権は5年経過により消
滅時効が完成すると考えて良いでしょう。
新法では個人以外の場合は、たいてい5年で時効が完成する場合が多いでしょう。
個人の場合は、個人債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる
ときから10年となります
例:個人間でお金を貸したけれど、返済期日を「借主の出世した日(課長に昇進した日)」と
定めていて、貸主が借主の出世した日を知らない場合は、借主が出世した時から10年
で消滅時効が完成しますが、10年経過する前に貸主が、借主の会社に電話して借主の
出世(課長に昇進)を知った時は知った時から5年となります。
5年経過する前に借主が課長になってから10年経過していた場合は、その時点で消滅時
効が完成となります。)
「えー、しかし、それじゃー、何で権利が消滅していて無効なはずなのに、なぜ、訴訟が
できるんですか?訴訟を提出した時に、5年以上経過していることは裁判所はわかって
ますよね。」
時効の援用の意義
「それは、
時効の完成猶予又は更新(旧法では停止、中断)
「時効の援用したら、必ず認められるんですか?」
「時効の完成猶予又は更新というのがあって、完成猶予又は更新されていたら時効は消滅
してないから、認められない場合がある。
例えば、平成15年の1月15日が弁済期でその日に支払せずに5年経過してたら消滅時効
が完成するんだけど、平成19年にAさんが「債務の承認」をしたり、訴訟提起されたりしてい
れば「時効の更新」となり債務承認の日から5年又は10年、判決が確定した場合は10年経
たないと時効が完成しないということになる」(新法では、貸金業者であろうが個人であろうが、
区別なく消滅時効の完成する期間は、「権利を行使することができることを知った時から5年、
権利を行使することができる時より10年」となります。
権利を行使することができるというのは、例えば金銭貸付で支払期日が経過したことにより、
「貸金を返してください」と請求できることをいいます。
例:個人間でお金を貸したけれど、返済期日を「借主の出世した日(課長に昇進した日)」と定
めていて、貸主が借主の出世した日を知らない場合は、借主が出世した時から10年で消
滅時効が完成しますが、10年経過する前に貸主が、借主の会社に電話して借主の出世(
課長に昇進)を知った時は知った時から5年となります。
5年経過する前に借主が課長になってから10年経過していた場合は、その時点で消滅時
効が完成となります。)
「債務の承認ってのは具体的にいうとどういうことですか?」
「「私Aは、Bカード社に○万円の債務を負っています」という書面にサインするとか
(更改や継続)契約書にサインしたり、支払をすることも「債務の承認」となり、時効の中断
となります。」
「じゃー先生、更新がなかった場合に時効の援用をすればこの訴訟はどうなるんですか?」
「請求権が消滅しているから請求自体が存在しなくなり、原告(Bカード社)の請求は理由が
なく「請求棄却」ということになるでしょうね」