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破産手続の自由財産拡張の申立
Q9で説明した通り、破産法で「自由財産」といって、一定の財産については破産申立者が法的に制約のない範囲で自分の財産を維持活用できるのですが、それ以外の財産については、全く処分ができないのか?ということですが、破産法34条で自由財産以外の財産で破産者の生活状況、破産者が有していた財産の種類、数、破産者が収入を売る見込み等を考慮して、自由財産の範囲を拡張することができる制度があります。
裁判所の職権、決定、又は破産者の申立により、裁判所が拡張することができる制度です。
これを「自由財産の拡張」といいます。自由財産拡張の判断基準ですが、裁判所によって判断が異なる場合もあり、一概に言えないのですが、破産者の生活に必要な財産と認められれば、自由財産の拡張は認められると考えられます。
生命の維持に必要な医療費や生活に必要な収入を得るための通勤手段は生活に必要度が高く認められる可能性も高いと考えます。
そして自由財産拡張の申立をする場合は、破産法34条により申立期間が定められていますので、(破産手続き開始決定が確定した日から1か月間)注意してください。
破産法34条 4項 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
なお、自由財産拡張の申立ができるのは「管財事件」だけです。
※管財事件とは裁判所によって破産者の財産を管理処分する権限を持った破産管財人が選任され,その破産管財人が,破産者の財産を調査・管理・処分し,債権者に配当するという手続きを行う破産手続です。